キナバル山登頂とボルネオ島ワイルドライフ

(2)ラバン・ラタ・レストハウス～ロウズ・ピーク登頂～ラバン・ラタ・レストハウス(4月5日）

朝３時頃起床、いよいよキナバル山登頂の日を迎えました。昨夜は前日の睡眠不足と疲労のため、私としてはかなり良く眠れましたが、富士山（3776m)より高い所へ登るのは初めてですので、不安と期待が混ざった複雑な気分の朝でした。

小屋に宿泊している登山者の大半は、頂上で日の出を迎えるために未明の2～3時頃に小屋を出発するようです。

私どものパーティーは「ゆったりと登る」と言うことで、頂上での日の出にこだわらずに登ることになりました。昨日のメンバーの登りの状況から、ガイドと係員がそのように判断したようです。なおOさんは頂上へのアタックには参加せず、小屋で待機することになりました。

頂上・ロウズピークまでの登山ルートとピークの位置関係を示す地図（左）を見ながら以下をご覧ください。

私たち５人のメンバーと山岳ガイドは皆より遅めの4時頃にラバンラタレストハウスを出発。今日は標高差823mのルートの往復です。

天候は快晴で、風もほとんどない絶好の登山日和です。辺りはまだ真っ暗でヘッドランプの灯りを頼りにゆっくり、ゆっくりと登ります。

最初の30分くらいは低木の樹林帯ですが、その後急斜面の岩場になります。

周辺が暗い中取り付けてある太いロープにつかまりながらの緊張した登りになりました。

出発して１時間半で、標高3668mに建つサヤサヤ小屋に到着。ここで現地の係官に山岳ガイドが登頂メンバーの報告とIDカードを提示して頂上に向かいます。

サヤサヤ小屋を過ぎると低木もほとんどなくなり、花崗岩の大岩壁を登ることになります。岩盤の上には白い、太いロープが引かれており、それに沿って登れば濃い霧の中でも道に迷うことはないとのことです。

サヤサヤ小屋を過ぎて、大岩壁の斜面を登っている時、後方を眺めると明るくなりかけた水平線の彼方から青色を帯びた光が射している幻想的な景色が見えました(写真：下左）。

時刻は6時頃ですが、前方にはまだ月が残っていました。かなり広い岩盤の上を歩いている(写真：下右)ので、富士山の頂上とほぼ同じ高さにいるという実感はありません。しかし、登りはかなり息苦しく感じます。

小屋を出た直後は寒さを感じましたが、それ以後歩いている時はそれほどの寒さを感じることはありません。秋の北アルプスを登っているのと同程度でした。また、花崗岩の岩盤上には砂や小石などはほとんどなく、スリップする心配はありません。

更に登って(写真：下左)10分間休憩。その後奇岩・ドンキーイヤーズピークを右手に見ながら、やや緩やかになった斜面を登ります(写真：下右)。

この頃から急激に空が明るくなりましたので、メンバーの後方を歩いていた私は、日の出の写真を撮りたいため単独で先行して登り始めました。

斜面を上り詰めると、岩盤が高原状になったサミットプラトウ(頂上台地)の端に到達にし、朝日に輝くロウズピークとセントジョンズピークが目に入ってきました(写真：下左)。早立ちした登山者が既に下山している姿がも見えます(写真：下右)。

サミットプラトウから右手を見ると、ドンキーイヤーズピークの方向から陽が登るのが見えてきましたので、パチリ(写真：左)。

この広大な台地の手前側左手にキナバルサウス、最奥部右手にロウズピーク、左手にセントジョンズピークが聳えています(上記の地図を参照ください)。

ロウズピークの方へ歩いていくと、登頂を終えた人たちが稜線を下っているのが見えます(写真：下左)。直下まで行くと、頂上への稜線は大きな岩が積み重なっているのがわかります(写真：下右)。

この直下で休憩しながら、後続のメンバーを待つことに。

サミットプラトウの歩いてきた方向を眺めると、ドンキーイヤーズピークとキナバルサウスを結ぶ優雅な岩盤の曲線(写真：左)を見ることができ、大感激。

日本では見ることができないスケールの大きい景色の中にいると、海外トレッキングに来ていることを実感します。

しばらく待って、メンバーがそろったので頂上までの最後の登りへ。積み重なった大岩の登りは結構ハードで、4000mの高度のためもあり息切れしてきます。所々で立ち休憩しながら登って、7：30に4095mのロウズピーク頂上に到着。

到着と同時に皆歓声をあげます。しばらく周囲の景色を堪能した後、メンバー全員と各自の記念撮影(写真：下2枚）。

頂上からは素晴らしい景色を見ることができましたが、水平線が写っている写真を紹介します(写真：左)。

地球が丸いということを実感できるような景色でした。

頂上ではほとんど風がないため、それほど寒さを感じません。

30分くらい頂上に滞在し、サミットプラトウへ下山開始。

登頂の余韻に浸りながらのトレッキングは楽しいものです。特に今回のように天候に恵まれ、素晴らしい景色を見ながら至福の時間を過ごすことができると、たいへんおおらかな気持ちになれます。

下山時に撮った写真4枚を以下に紹介します。

サヤサヤ小屋を経てラバンラタレストハウスへ10時半頃に到着。しばらく休憩した後、自由行動。

昨日、目にすることができなかった山小屋周辺を散策。

この山小屋の背後には巨大な岩壁がそそり立ち、奇岩が隆起し壮大な光景を見せています(写真：左）。

本日はこの山小屋で宿泊しますので、メンバーの方達とゆっくり話ができたことは大変良かったと思っています。

フォトギャラリーで「キナバル山登頂とボルネオ島ワイルドライフ」スライドショーを紹介していますので、一緒にご覧ください。